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小平尚典『THINKERS STEVE JOBS+』写真展
小平尚典『THINKERS STEVE JOBS+』写真展
会期:2021年10月13日(水)〜10月23日(土)
〈開廊時間〉
平日 11 - 19時
土 11 ‐ 17時
日 休み
*状況により開廊時間が変更となることがございます。
日 休み
*状況により開廊時間が変更となることがございます。
ご来場前に当店HP・SNS等でご確認ください。
〈開催にあたり〉
僕は1988年から2003年までに4回ほどのジョブズとのフォトセッションのチャンスに恵まれた。
1985年9月15日にスティーブ・ジョブスがアップルを追い出されて悪戦苦闘して作り上げた新しいワークステーション型Nextcubeの最初の記者会見である。 ポールに紹介され、緊張した面持ちで握手を交わした。少し強く握った。 突然ジョブスが静かに登場した。プレスカメラマンが一斉にシャッターをきる。ストロボの光を浴びながらジョブスは一方的にトークを始めた。 少し落ち着いてきたので後ろから300mmでアップを狙った。そのカットがこの本の表紙の写真だ。 それから何度かオフィスでインタビュー写真を撮影するチャンスにも恵まれた。 そして時にはドタキャンされた。悔しいので彼のベンツを撮影して帰ったこともあった。 1993年にIT賢者ポートレイト写真集「シリコンロード」を制作するにあたり、ジョブスにモットーをお願いした。 PowerBook G4を熱心に紹介して、自分の言いたいことを語り終わると、いきなり壇上からおりて消えて行った瞬間が裏表紙の写真である。 銀座通りに止めてあったハイヤーに乗り込もうとした時、僕は「ヘイ、スティーブ」とカメラを向けた。彼は「ノーサンキュウ」とクールに立ち去って行った。 縁あって当時のIT革命のレジェンドたちをたくさん撮影したが、アーティストと呼べるのはスティーブ・ジョブスだけだった。
ロングインパクトのIT革命の時代を担うPCビジョナリーを取材。 2021年スタンフォード大学ライブラリーに全写真作品がセレクトされた。
今回の展示では、それぞれのあの日のジョブズを12枚を展示しております。
1988年10月12日の午前10時前にサンフランシスコ・シンフォニーホールに未来学者ポールサフォに連れられて、Next Computer発表会に参加した。
ジョブスは「今日はビルがTシャツだからアルマーニで決めたぞ」なんて軽くジョークを飛ばしアドレナリン全開だった。やはりビル・ゲイツは最大のライバルなのかと思いながらカメラマン席の前に陣取った。
椅子はなく自由に動いても良い環境であり、僕はライカM6/21mmを首にぶら下げ、NikonF4/80~200mmを肩にかけていた。
彼から「神道とは何だい」「俺の1分はいくらと思う」「ライカのどこが良いのかい」などと唐突に質問された記憶がある。
彼は「オブジェクト指向プログラミングは90年代の革命である」とFAXを送って来てくれた。
2003年11月27日、東京の銀座アップルストア・オープニング記念セレモニーでジョブスと12年ぶりに再会した。
それ以降会うことはなかった。
小平 尚典(こひら なおのり)Naonori Kohira
写真家、メディアプロデューサー
1954年北九州市小倉北区生まれ。 日本大学芸術学部写真学科卒業後渡英し社会派写真家としてデビュー。
新潮社『FOCUS』創刊メンバー、御巣鷹山JAL墜落事故写真集「4/524」を新潮社から出版。1987年から米国西海岸に移住。
ビル・ゲイツやジョブスらを中心に新しく生まれたイノベーションを多目的に検証し、「Silicon Road」「e-face」を制作。
現在は東京在住。公益社団法人日本写真家協会会員、早稲田大学理工学部非常勤講師。(http://nkohira.shopdb.jp/profile.html )