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水の波紋展 2021 山陽堂書店130年の歩み feat.弓指寛治
水の波紋展 2021 山陽堂書店130年の歩み feat.弓指寛治
月-金 11-18時 土 11-17時
*状況により開廊日時が変更になる場合はHP等でお知らせいたします。
「かの子と太郎」 「火の海」
山の手大空襲のことを知ったのは恥ずかしながらつい最近?数年前のこと。
満蒙開拓青少年義勇軍だった祖父は渡満する際、東京で「大空襲」を見たと繰り返し話しをしていた。
祖父は死ぬまでずっと3月10日の大空襲の方だと言っていたしそう思っていたんだろうけど
後々僕が調べてみるとどうやら5月25日夜の山の手大空襲だったっぽい。
じいさんはいつも「暗い電車のカーテンから覗いてみたらな、遠くで火柱があがってな、あれ~きれいやの~」と言っていた。
満洲国や第二次世界大戦について作品を作り発表していく中で久保ヨシ子さんという
当時19歳で大陸の花嫁候補だった方のお話を聞く機会があった。ヨシ子さんは山の手大空襲の後片付けに行ったと教えてくれた。
僕は空襲といえば「東京は焼け野原に」と教わってきたので後片付けがあったなんて考えたこともなかった。更地になったわけじゃないんだ。
全てが燃えたわけではなく、トタンなどすすけて燃え残ったモノがいっぱいあってそーゆーのを集めてどかして置く。死体はもう無かったとのこと。
その作業をしていると所々に色づいて光るモノが目に入ってきて、何だろう、と良く見たらそれは
タイルだった。中華料理屋だったタイルや風呂や洗面所だったタイルが空襲後も燃え残りカラフルに光っていて
「まぁ~~きれいだった~」と言っていた。「私が将来結婚して家を建てたら絶対タイルの家にしようって思った」とも教えてくれた。
僕はとても大切な戦争の記憶だと思った。
岡本太郎現代芸術賞(TARO賞)というコンペがあって僕はその第21回に応募し2位の敏子賞を頂いた。
その副賞で青山にある岡本太郎記念館で特別展示ができた。
「太郎は戦場へ行った」というタイトルで兵士として中国戦線へ送り込まれた岡本太郎を題材に展示をした。
太郎さんの残した数少ない兵士時代のエッセイからヒントを得て絵を描いていったのだけれど
そういえば戦後、中国大陸から青山へ帰ってきたら家が無かった、全部燃えてしまっていたという文章があったことを思い出した。
あぁ、太郎さんが母・かの子さん父・一平さんと過ごした家は山の手空襲で燃えてたのか~。
しかし太郎さんはその後青山にもう一度住む為にアトリエを建てた。そこで色んな絵や立体を作って芸術家岡本太郎になって敏子さんと生活をして、そして去っていった。その後、敏子さんがアトリエを一般の人が見学できるよう岡本太郎記念館を作った。
そして敏子賞をもらった赤の他人の僕が記念館で描く壁画の題材は山の手空襲にしようと思っている。
山陽堂は戦前~戦中~戦後をずっと見てきためっちゃくちゃ貴重な建物。
青山・表参道を巡るヨシ子さん、太郎さん、かの子さん、一平さん、敏子さん、一応僕の祖父、
空襲で亡くなった人、生き延びた人、形容しがたい色んな人、虫や動物、あとは車とか、電車とか、
いろんな生の断片を見てきた建物だろーなと思う。
山の手空襲について考える事はその前後を繋げ、現代まで続いているものについて考えることができるんじゃないかと思う。
だから青山にゆかりのある人達の力を借りて描いてみたいと僕は思ってまーす。
弓指寛治
◇プロフィール
弓指寛治 1986-
16年のゲンロン カオス *ラウンジ新芸術校第一期成果展[先制第一撃」で
金賞を受賞。母親の自死について描いた巨大な絵画《挽歌》(2016)を発表して以降、
「自殺」や「慰霊」をーマに制作を続けている。
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水の波紋展 2021
会期:2021年8月2日(月)-9月5日(日)
開館時間:11:00-19:00
※ 一部の会場は開館時間が異なります。(ワタリウム美術館 :月曜休[8/9を除く]/岡本太郎記念館:10:00-18:00、火曜休 /山陽堂書店:平日11:00-18:00、土曜11:00-17:00、日祝休、8/8 - 8/15 休)
※ 入場料や事前予約が必要な作品がございます。
会場:東京・青山周辺 27作品(岡本太郎記念館 中庭、山陽堂書店、渋谷区役所
第二美竹分庁舎、テマエ、ののあおやまとその周辺、梅窓院、ワタリウム美術館とその周辺)
主催:ワタリウム美術館 お問合せ:http://www.watarium.co.jp/ tel:03-3403-3001
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※山陽堂書店は入場無料です。