はじめに
わたしたちは、医学の進歩により、人生の多くの期間を以前よりも健康に過ごすことができるようになりました。また、インターネットの発達により、医療情報も手に入りやすくなり、非常に便利な世の中になりました。
しかし、これらのことで病気に対する不安が和らぎ、人々が生きやすく、幸せを感じやすくなっているかというと、どうもそうとはいえないように思います。
例えば、2020年1月より流行した新型コロナウイルス感染症では、テレビ、新聞、インターネットなどの情報伝達手段を通じて膨大な情報が流れました。どれを信じていいのかわからず、恐怖をあおられてしまった方が多かったように思います。情報が増えると、取捨選択するのが難しくなります。
昔は情報が限られていただけではなく、日本においては治療に関しても、「おまかせします」と医療者に委ねる風潮が強かったように思います。そのため、それほど医療や自分の体について知る必要性には迫られてこなかったのかもしれません。
しかし現在は、自分の体で何が起こっているかについて「医療者から説明を聞いて理解し、診断や治療について同意する」(これをインフォームド・コンセントといいます)ことが必要で、理解するには人間の体や医療についての基本的な知識が役立ちます。その上で、「治療の選択肢のメリットとデメリットを比較し、理解する」という能力が重要になります。
医療を受けるときに限りませんが、いくつかの選択肢に直面したとき、その選択肢を深く理解し、納得した上で選べることが、人生をより幸せに送れる理由の一つだろうと、筆者は思っています。そのためには、「医療について理解し、適切な行動ができる力」つまり医療リテラシーが重要になってくると考え、本書を執筆しました。
筆者はこれまで、放射線科医として、がんをはじめとした画像診断に従事する一方で、できるだけ多くの方に医療について理解していただきたい、一般の方の医療リテラシー向上に貢献したいと考え、メディアなどに幅広い分野の医療記事を発表してきました。
筆者はこの分野の研究者ではありません。本書はあくまで一人の臨床医が、これまでの臨床経験・病院勤務の経験とさまざまな文献から、「こんなことを素養として身につけていただきたい」と思ったことをまとめたものです。この本を手に取っていただいた皆さんが、幸せな生活を送る上で本書がお役に立てれば幸いです。
2020年 12月
松村むつみ
目 次
著者プロフィール
松村 むつみ(まつむら むつみ)
1977年愛知県一宮市生まれ。2003年、名古屋大学医学部医学科卒。2003年、国立国際医療センター(現、国立国際医療研究センター)臨床研修医。当初外科を志すが、その後放射線科医(画像診断)の道へ。専門は乳房画像診断。横浜市立大学にて博士(医学)取得。
放射線診断専門医、核医学専門医、日本乳癌学会認定医。
2017年に大学を辞しフリーランスとなり、神奈川県や東京都の複数の病院に勤務の傍ら、自宅でも遠隔画像診断を行う。
同時期より、各種ウェブ媒体に、幅広く医療記事を執筆。一般の方々の医療リテラシー向上に貢献するべく活動中。
日本医学ジャーナリスト協会会員、アメリカヘルスケアジャーナリスト協会会員。
・ブログ「医療のあいだをつなぐブログ」
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市川 衛
医療の「翻訳家」/Yahoo!個人オーサー/
メディカルジャーナリズム勉強会代表/
京都大学医学部非常勤講師/広島大学医学部客員准教授
「『コロナ菌』って何なの?」「PCR検査で陰性なら安心?」「放射線を浴びるとがんになるのか」命にかかわる大事な医療の情報。
でもテレビやSNSで見かけても、本当かどうかわからなかったり、なんとなくモヤモヤが残ったりすることも少なくありません。
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